■ 空木の名称
最初から、空木岳を「うつぎ」と発音できる人は半分くらいでしょう。
「そらき」、「からき」中には「くうき」と呼ぶ人もいる。
あの日本百名山の深田久弥がその文中で「空木、空木、何というひびきのよい優しい名前だろう。もし私が詩人であったなら…」と賞賛している。また、百名山に選ぶとき「空木にしようか、南駒ヶ岳にしようかと迷ったが、僅かに背が高いことと、その名前の美しさから空木岳を採ることにした。」と、やはり文中に書いている。
空木岳の名称は、諸説がある中で、以前は前駒ヶ岳と呼ばれていた、そのなごりで頂上より東方にある大岩に「駒石」の名称として残っていると言われている。池山登山道の池山小屋付近に「ウツギ」が自生し卯の花が咲き乱れていることから大正末期に改名されたとの説もある。また空木岳東面の雪形が卯の花に似ていることからも、その名が付けられたとの説もある。
しかし、内閣文庫所蔵の蕗原拾派の「宝暦六年駒ヶ嶽一覧記」の中で「うつぎヶ嶽」の名称が出てくることから、大正末期に改名された説には疑問が持たれる。1958年ころの営林署(現森林管理署)の林班地図には、「前駒ヶ岳」と記されていた。現在でも駒ヶ岳とされている。
|